不動産投資の新たな開設

私は意味がわからなかった。
どうやら、店の外のことを言っているようだ。 しかし、外は暗くてよく見えなかった。
ガラスには室内の様子が反射している。 角度を変えて見直すと、すぐ近くにG・K社長が立っているようだ。
窓の方へ近づき、私は外を窺った。 すると、社長が若い女性と立ち話をしている。

しっかりとは見えないが、見かけない顔のようだった。 「お客さんですか?」私は、Sさんに尋ねた。
「もう…」Sさん、口を窄めて頬を膨らませた。 目が笑っている。
これには、私は少なからず衝撃を受けた。 いきなり、ここで含み笑いとは。
ドアが開いて、今度はG・K社長が入ってきた。 「おい、T」「さっさと片づけて、帰れ」「はい、ええ、今から書類を片づけるつもりです。
明日契約ですので」「それは明日にしろ」「え、どうしてですか?」「明日できることを今日するな」様子がおかしい。 そして、その原因はどうも外にいる人物にある、という予想が立つ。

私は、ドアのガラス越しに外をじっと見た。 しかし、どう見ても、思い当たるものがない。
「あの人は、誰ですか?」「そうか、あくまでもしらを切るつもりなのだな」社長が言った。 「えっと、あの、ちょっと待って下さい。
なにかの間違いではないでしょうか?」「社長、Tさんの事情もあるかもしれません」。 Sさんが社長の方に近づく。
「とにかく、私たちは、もう……」「ん?」Sさんに押される形で、社長はドアの方へ後退した。 「いや、そんなつもりは…」二人はドアから出ていってしまった。
いったいどうなっているのだ?と見守っていると、今度はSさんが、外にいた女性を店内に入れようとしている。 ドアが開いた。
「さあ、どうぞ中へ」Sさんが手招きする。 若い女性が店に入ってきた。
Sさんは、私の方を見てウインクする。 これもターミネータのレーザービームのように衝撃的だった。
ドアが閉まり、女性は後ろを振り返った。 私も外を見ていたが、社長がガラスに顔を近づけ、外から手をふった。
フライドチキンでも持っていそうな笑顔だ。 そして、二人は遠ざかっていった。
店内に残された女性は、まだドアの前に立ったまま。 大きなカバンを両手で持ち、下を向いていた。
「はい、何でしょうか?」私は困って尋ねた。

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